花とアイドル☆《完》

きっと、唐突に拓斗がこんなこと
を言い出したのも。


今回の出来事が、拓斗にとって
は、まさにそうだったから?


家庭の事情で、母親の旧友の家に
下宿することになった花乃。


でも、もし拓斗がごく普通の
一般人だったら――当然、今回の
ような騒動は起こらなかったし、
もとより、周囲にバレないように
気をつける必要もない。


――ひょっとして、あたしに
秘密を負わせてることまで、
拓斗クン、自分のせいだって、
責任感じちゃってるの……!?


「そ、そんなの、拓斗クンのせい
じゃないよ!

だって、仕方のないことだし、」


言いかけた言葉は、やんわりと
拓斗に遮られた。