花とアイドル☆《完》

「拓斗……クン?」


「花乃さんは、単に理不尽なこと
言われただけなんだから。

もっと怒ってもいーんだよ?」


「最初は……怒るっていうか、
たしかにすごく悲しかったよ。

あたしに責任があるわけじゃない
のに、とかも考えたし」


恥ずかしかったが正直にそう言う
と、拓斗はほんの少し面白そうに
瞳をくるっと動かした。


「で、でも、一晩ずっと考えてた
ら、なんか違うなって思って」


「……なんで?」


「だって……拓斗クンと4年も
一緒に頑張ってきた人が、ただの
イジワルとかわがままで、あんな
こと言うと思えないし……。

あたしが、芸能界のこと何も知ら
なくてニブいから、言うしか
なかったのかなぁって」