花とアイドル☆《完》

それが、どれほどの効果を発揮し
てくれたかは分からないけれど。

今となっては、誰にも気づかれて
いないことを祈るしかない。


「ゴメンね、いっぱい探させ
ちゃって」


それだけは間違いないようなので
、花乃はもう一度謝った。

もっと文句を言われても仕方ない
――そう思ったけれど。


「こっちこそ、ゴメン」


拓斗の返事は、意外なものだった。


「――え?」


「朱鷺田さんから聞いたんだ。

花乃さんに、昨日あの人が話した
こと――」


「――――!!」


花乃は驚きで目を真ん丸にした。


まさか、朱鷺田さんが自分から
拓斗に話すとは思えない。

だから、こんなにすぐに気づかれ
るとは、思ってもいなかった。