花とアイドル☆《完》

そう言いながら、拓斗はドサッと
花乃の隣に腰をおろした。


木製のベンチが、きしんだ音を
たてる。


「……駅の方とかも、いっぱい
探してくれたの?」


「まあ、テキトーにね」


さりげなさを装っているけれど、
まだ荒い息は落ち着いていない。


――ずっと走って、探し回って
くれたんだ……。

でも駅前なんて、人いっぱいいる
のに……?


花乃の不安そうな視線で、拓斗は
すぐに察したらしい。


「さすがに駅前ではコレつけてた
から、たぶんだいじょーぶ」


そう言って指さされたジャケット
の胸ポケットには、サングラスが
掛けられていた。