花とアイドル☆《完》

――もうすぐ日も暮れるな……。

これ以上ここにいたら、家出人と
間違われてお巡りさんとか呼ばれ
そう


本当にどうしていいか分からず、
また1つため息を落としかけた
とき。


砂利を蹴る乱暴な足音と共に、
聞き覚えのある声が聞こえた。



「――――花乃さん!」



「え!?」


信じられない思いで、弾かれた
ように顔をあげる。


でも、そんな花乃の前に駆け
寄ってきたのは、まぎれもなく
拓斗だった。


「拓斗クン!? 

ど、どうして……?」


「め、めっちゃ探した……。

本とか言うから、いちおー駅前の
本屋とか行っちゃったじゃん」


花乃の質問には答えず、肩で荒い
息をつきながら途切れ途切れに
そう言う拓斗。