花とアイドル☆《完》

結局、拓斗のほうから強引に話を
打ち切り、その後は深夜まで撮影
が続いたので、うやむやになって
しまっていたけれど。



――あのヤロ、
まさかとは思うけど……!


「――ゴメン奈津美さんっ。

オレ、ちょっと部屋戻る!」


拓斗は勢いよく立ち上がると、
3階の自室へと大急ぎで移動した。

部屋に入るなり携帯を取り出し、
履歴から奏にコールする。


2回呼出音が鳴ったあと電話は
つながり、いつものように落ち
着き払った奏の声がむかえた。


『――どうした?

何かあったか?』


――何かあったか、じゃねーよ!


そう怒鳴りたい気持ちを、ぐっと
抑えて。