花とアイドル☆《完》

どれだけ拓斗が元気なように振る
舞っても、すぐに、カラ元気で
あることを見抜いてしまうのだ。


そして、

『体調管理も仕事のうちだ。

つまらない意地をはったりするん
じゃない』

と、まるで親のようにお説教を
始める――と、それがいつもの
パターンだった。


――こっそり家の方にオレの様子
を聞きに来るなんて……絶対
不自然だ。


しかも、花乃さんとも何か話して
て――その後から、花乃さんは
元気がないってことだよな……。



思い当たることといえば、1つ
しかなかった。


昨日の午後、移動の車内で、奏に
言われたこと。


庭先で、窓越しに花乃と話をして
いたことを、奏は明らかに非難した。