花とアイドル☆《完》

朝を迎えても、心の整理は一向に
つかず。

花乃は暗鬱とした気分で、上の空
で講義を受けていた。



「言っとくけど。

あたしに隠し事しようったって、
ムリだからね」


午前の最後の講義を終えて、
ランチのためみずほと並んで
学食へ向かう途中。


それまでの話題を唐突に切って、
みずほが言った。


「――え?」


「え? じゃないわよ。

いつまでたっても話してくれる
気配ないから、こっちがしびれ
切らしちゃったわ」


「みずほちゃん……」


みずほはどことなくむくれたよう
な表情をしている。


心配かけまいと、普段通りにふる
まっていたつもりだったけど。


付き合いの長いみずほには、
花乃が落ち込んでいることは、
お見通しだったようだ。