花とアイドル☆《完》

「――考えさせてください」


なんとか、震える声でそれだけを
言うと。


花乃は踵を返してリビングを飛び
出し、一目散に自室に駆け込んだ
……。



     ☆☆☆☆☆



それから。


自室のベッドに突っ伏して、
しばらく声を殺して泣いた。



拓斗のマネージャーに『迷惑だ』
と言われたことが、こんなにも
ショックなんて。


花乃は、泣きながら自分でも少し
驚いていた。


でも、どうしようもないくらい
悲しくて、涙もいっこうに止まっ
てくれなくて。


ようやく落ち着いたのは、もう
夕暮れも迫る時間帯。


「やだ……ひどい顔」


鏡を覗き込んで、花乃は思わず
呟いた。