花とアイドル☆《完》

花乃は、朱鷺田さんの冷たさの
わけが、ようやく分かったと
思った。


――朱鷺田さん……あたしがここ
にいることを、完全に否定してる
んだ……。


なんのことはない。

最初の、彼の言葉そのままだった
のだ。


『快く思っていない』

――要するに、迷惑だって、
言ってるんだ……。



胸の奥から、熱いものが込み上げ
てくるのを感じる。


朱鷺田さんの言うことが、理屈と
して分からないわけじゃない。


――でも、だからってどうしたら
いいの……?


言葉にできない悔しさと悲しさが
渦巻いて、あふれそうになって
いた。


でも、ここで涙を流すことだけは
絶対にしたくなくて。