花とアイドル☆《完》

朱鷺田さんの表情からは、はっき
りした感情はうかがえない。


いつも無表情で坦々と話す彼と、
何ら変わりがないように見える。


でも――やっぱり。


その声と瞳に、言いようのない
冷たさが含まれているように、
花乃には思えた。


「本郷氏の働きかけで、情報が
漏れる心配はないとのことですが
……彼とて、万全ではない。

むしろ、彼がいくら尽力したと
して――」


朱鷺田さんはそこで一度言葉を
切った。

そして、真っすぐに花乃を見据えて、


「あなた自身から、情報が漏れ
ないとも限らない」


「――――!?」


――それって、あたしが誰かに
バラすんじゃないかってこと!?