花とアイドル☆《完》

「そんな、たいしたことは言って
ませんけど。

それでは……お見送りいたし
ましょうか?」


「いえ、見送りはけっこうです。

どうぞお構いなく、お仕事に
戻ってください」


「そうですか? 

では、失礼いたしますね」


奈津美さんは、一礼するとパタ
パタとスリッパの音を響かせて、
リビングを後にした。


――そういえば、なんの話してた
のかな?

役に立った、って……?


花乃の疑問はそのまま表情に出て
いたようで、朱鷺田さんがサラリ
と教えてくれる。