花とアイドル☆《完》

「そうですか。

そう言えば、きちんとお話をする
のは初めてでしたね。


拓斗がいつもお世話になって
います」


「お世話だなんて!

あたしの方が居候させてもらって
る身ですから」


そんな感じで、お互いペコペコ
しながら話をしていると。


しばらく黙って二人の様子を
うかがっていた奈津美さんが、
おもむろに口を挟んだ。


「あの……もしよろしければ、
私はそろそろお夕食の支度にかか
らせて頂きたいのですが……」


問いは、朱鷺田さんに向けられて
いる。


朱鷺田さんは奈津美さんに向き
直ると、


「これは失礼しました。

お忙しいところお手間をとらせて
すいませんでした。

大変参考になりました」


と、丁寧に頭を下げた。