花とアイドル☆《完》

「あ、こんにちわ!」


花乃も、ペコリとお辞儀を返して
から、


「こんな時間に、拓斗クンもう
戻ってきてるんですか?」


と、どちらにともなく尋ねると。


「いえ、拓斗はまだ撮影中です。

私が、社に戻らなくてはならない
急用ができたもので。

近くを通ったついでに、少々
お邪魔しました」


朱鷺田さんが、低めだがよく通る
声で、そう説明してくれた。


「そうなんですかぁ」


頷きながら、花乃は感心する。


――朱鷺田さんって、挨拶以外で
話すの初めてだけど、ほんと
『キレ者』って感じだなぁ〜。