窓越しに会話したときの、花乃の
表情を思い出す。
最初は、何のことか分からない、
というような顔をしていたけど。
思い当たるやいなや、パッと弾け
るような笑顔になって。
少し頬まで紅潮させて、喜んで
いた。
――きっと、あんなふうに喜んで
くれると思ったから。
その顔が見たくて――オレ……。
「……もういい。
オレ、少し寝るから。
スタジオ着いたら起こして」
これ以上会話を続けたくなくて。
拓斗は一方的にそう言うと、
キャップを目元が隠れるまで目深
に被って、目を閉じた。
運転席の奏が、何か言おうと息を
ついた気配がする。
表情を思い出す。
最初は、何のことか分からない、
というような顔をしていたけど。
思い当たるやいなや、パッと弾け
るような笑顔になって。
少し頬まで紅潮させて、喜んで
いた。
――きっと、あんなふうに喜んで
くれると思ったから。
その顔が見たくて――オレ……。
「……もういい。
オレ、少し寝るから。
スタジオ着いたら起こして」
これ以上会話を続けたくなくて。
拓斗は一方的にそう言うと、
キャップを目元が隠れるまで目深
に被って、目を閉じた。
運転席の奏が、何か言おうと息を
ついた気配がする。

