花とアイドル☆《完》

「別に、怒ってねーよ!」


「怒ってるだろう……」


小さく呟くように言うと、奏は
やれやれ、という感じでため息を
つく。


「堀内さんが来てから、お前、
時々様子がおかしいぞ。

あんな浮ついた行動をとったり
……。

こんなことで口答えするのも、
お前らしくもない」



――は?

オレが、浮ついてるって?


「べ、別に花乃さんはカンケー
ないだろ!

てか第一、オレ浮ついてなんか
ねーし!」


「ないのか?」


「ねーよ!!」


拓斗はお腹の底から、思い切り
力を込めて吐き捨てた。


――オレはただ……花乃さんが
がんばって世話してた花だって、
知ってたから。

少しでも早く、教えてあげたかっ
ただけで……。