花とアイドル☆《完》

でも、拓斗はそんな花乃の様子
には気付かなかったのか、ごく
落ち着いた声で、


「花乃さんサンキューね。

母さんのワガママに付き合って
くれて」


と、薄く笑いながら、お礼を
言ってくる。


花乃は思いがけない言葉に慌てて
手を振りながら、


「ワガママなんて!

あたしも好きだから、誘って
もらって嬉しかったくらいで」


「好きって、ガーデニング?」


「うん。

――って言っても、別に前の家で
ガーデニングやってたわけじゃ
ないけど…。

花とか、昔から好きだから」


「そか。たしかに、なんか花乃
さんらしーな」