瑠璃色の華

朝廷のとある間。

何時もならば皇帝陛下と朝の謁見や朝議が行われるこの場が普段と違う緊張感に満ち溢れていた。

この国を司る皇帝陛下をはじめ三師、各省の尚省が各州の州牧が顔を揃えていた。

「祥啓はまだ来ぬのか?」
その、中でも最も高い位置に鎮座する王が近くに控えている側近に耳打ちをする。

「先程、朝廷に入られたと報告が来ましたのでもうそろそろかと…。」

側近が答える。

「そうか…。のう翔瑛早いものだな。祥啓が余の娘になってからもう6年も経つのか…。」

そう言ってまだ若さのある目を懐かしげに細める。

「そうでございますね。」
そう言って側近…翔瑛は前を向き直した。


ドーンという太鼓の音が鳴り響いた。

シンと辺りが静まる。

「第一王女 孫 祥啓姫のご入場でございます。」

祥啓の到着を告げる官吏の緊張した声に続き、広間の扉が厳かに開いた。