瑠璃色の華

「ななし?」

近藤が聞き返す。

「えぇ。私は非嫡出子で父親は分かりません。母親は育児放棄して私に名前すら付けてくれなかったのです。」

土方の顔に後悔の色が浮かんだ。

「6歳のころまでは近所の老夫婦が育ててくれましたが、亡くなってからは1人で生きて来ました。」

幸い老夫婦が私宛てに遺産を残してくれたおかげで生活に不自由はあまりなかったのですが…。と祥啓は続けた。

「すまねぇ。」

ボソッと土方が呟いた。

「お気になさらないで下さいな。」

祥啓が笑顔で言う。

「それより、新しい名前を付けるのでしょう?」

その言葉に近藤があぁと頷いた。

「何か好きなものとかはないのか?」

近藤の問いかけに祥啓が考えていると、

「「祥啓様っ!!」」

と後ろで光琳と慧斗が口を揃えて言った。

「まぁ。困りましたね。この世に私が3人いることになってしまいますよ。」

クスクスと祥啓が笑いながら言う。