「孫家に伝わる家宝。水寓刀だ。」
王が祥啓の目の前に刀を見せる。
「家宝…。水寓刀…。」

祥啓はその優美な細工の鞘に見とれた。

「余の持っている火寓刀と同じ石から作られたいわば兄弟剣だ。こちらは陰の気が強いから女であるお前には扱い易いはずだ。」

差し出された祥啓の手のひらにズシッと剣の重みが加わる。

「ありがたく頂戴致します。」

祥啓はそう言ってにこりと微笑んだ。