あんたに夢中!

まさかの、話だった。

「あの後で冴子さんに言われた通り、試験官の人たちを野菜だと思って受けたんです。

そしたらうまく行って、内定をもらったんです」

そのことを懐かしむように、三浦くんは話をしていた。

「俺、その時から冴子さんに恋をしてたんです。

一目ぼれ、ですかね?

とにかく冴子さんに会いたくて話がしたくて」

だから、いつも私に近づいてたんだ。

でも私は、何にも覚えてなかった。

「ごめんなさい」

私は言った。

「えっ?」

「何にも、覚えてなくて」

「別に、いいっすよ」

三浦くんが微笑んだ。