あんたに夢中!

「あっ…」

私は、短く声をあげた。

おととしの入社試験――確か私は、お茶出しの係として参加したんだ。

「思い出しましたか?」

「もしかして、トイレの前にいた?」

そう言った私に、三浦くんは首を縦に振ってうなずいた。

そうか…。

その時に私、三浦くんと会ってたんだ。


季節は、木枯らしが冬の訪れを告げる11月だった。

「全く、人使いが荒いんだから」

そうぼやきながら、お盆を片手に給湯室へと戻った。

仕事しなくてもいいと言う特典つきだけど、やっぱりめんどくさいなあ。