あんたに夢中!

「俺はずっと前から、冴子さんのことが好きでした。

この会社に入る前から」

「えっ…?」

入社する前からって、私たちどこかで会ったことがあるってこと?

私の気持ちを読んだのか私がそんな顔をしていたのか、
「やっぱり、覚えてないんですね」
と、三浦くんは自嘲気味に笑った。

「覚えてないんですねって…」

そんなことを言われてもなあ。

もしどこかで会ってたら、三浦くんの顔を忘れるはずがないもん。

「去年の入社試験」

ポツリと、三浦くんが言った。

「去年の入社試験…?」

三浦くんの言ったことをマネするように呟くと、記憶をたどった。