「部長」

「んっ?」

「もし私に、好きな人がいるって言ったらお見合いはどうなっちゃうんですか?」

そう聞いた私に、部長は眉をハの字に下げた。

「別に、野際の恋路を邪魔するつもりはない。

先方には、親が決めた相手がいたとでも言えばいい訳だから」

そう言った後、西山部長はコーヒーをすすった。

「野際がそう言う風に聞くと言うことは、肯定してもいいのか?」

その問いに、私は首を縦に振ってうなずいた。

「仕方ない。

先方には、さっき言ったように伝えておく。

課長に関しては、俺がうまく言っておく」

そう言った西山部長に、
「はい、すみませんでした」

私は謝った。