あんたに夢中!

三浦くんを振り払うように、私は頭を横に降った。

「冴子さん?」

不思議そうな顔で、岸田さんが聞いてきた。

「どうされたんですか?」

「いえ、何も」

ニコッと笑いながら、私は答えた。

目の前にいるのは、三浦くんじゃない。

岸田さんなんだ。

「また、会いませんか?」

岸田さんが言った。

「また、ですか?」

「来週の日曜日にでも、デートしませんか?」

ニコリと微笑んだ岸田さんの笑顔に誘われるように、
「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。