静寂の中、炎がパチパチと音をたてた。しかし私達は無言だった。狼は膝を立ててすわり銃に弾を詰めていて、竜さんは胡座ですわっていて炎に木を焼べている。
私は自分の体を抱くようにして、体育座りをしている。ただぼんやりと炎を眺めながら。
はじめてだったんだ。あんな目の前で人が死ぬのをみたのは。
アテ島は平和なんだ。と改めておもい知らされた。

これからもあんなことが起きるの?
いつか私も人を殺さなきゃいけないの?
狼がしたように、竜さんがしたように。

私は怖くなって堪えられなかった。暖かいものが頬を伝う。

「な、夏実っ」

ぎょっとした表情で、狼が慌てて私の目の前にきた。

「どうした?どっか痛いのか?まさかさっきのでどこか怪我でも……」

黙って泣き出した私に驚いたのか、わたわたと慌てる狼がなんかおかしかった。だってさっき狼は人を殺したんだ。その時は平気だったくせに、私が泣いただけでこんなにあわてるなんて。