夏実の足元には一本の矢。私が引っ張らなければ、おそらく命中していただろう。
私は無理矢理夏実を横に向かせ、私自身は後方を……夏実とアイツに背を向ける形をとった。

「出てこい!いるのはわかってる」

弓矢を放ったと思われる奴の仲間が、アイツの呼び掛けにのっそり姿を現した。
相手は三人。アイツの前にいる奴は剣を、夏実の目の前の奴は弓を、私の前にいる奴はダガーを握っていた。

「夏実はこっちを……私はそっちをやる」

夏実に弓矢相手は難しいかと考え、そっと夏実にそう指示した。しかし動揺しているのか返事はない。
……わかってるのか?

「持ってるものを全部だせ!」

ダガーをもった奴がいった。盗賊の一味らしい。

「嫌だね」

私がきっぱり言い放つと、アイツが私の背をつついた。