エイレネ

朝日がゆっくり昇る。
それを確認すると、私は狼を揺さぶった。

「ろーう。朝だよ」

……。
ノーリアクション。
もう一度揺さぶってみるものの、かわらない。
仕方がないから、耳元で大声をだしてみた。

「お・き・て!狼!」

すると、うっすら目を開ける狼。

「……」

「お、おきてる?」

すると狼は無言で上体を起こした。

「……」

「……」

「……」

「狼……?」

宿にとまったときは、私より先に起きてたのに。