『おはよ。』


びくっ


声の主は振り返らなくても分かる。


「おはよ。」


『何でこっち見ないの?』

「べ…別に意味はないよ。」

廊下を歩く足が自然と早足になる。


『何で逃げてんの?』


「意味はないってば…」


グィッと腕を掴まれて、進行方向と逆向きになった。

『じゃあこっち見てよ。』

「………。」


震える足。怖い。目なんて合わせらんない…。




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