前は今回みたいに、いなくなったりしなかったし、学校にもちゃんと来た。

でも今回は―

裏切られたのが2回目っていうのもあると思うが、俺が思うに、前より酷いことをされたんだと思う。

なんで、いなくなる前に気づかなかったんだ…実衣はなんで俺を頼ってくれなかったんだ…


とにかく実衣を見つけないと…

俺はその一心で走り続けた。

実衣がいなくなって4時間。近くの海に来たとき、海辺に女の姿が見えた。

もしや、と思いそこに行ったら、実衣だった。

俺は急いで空良たちに電話して、今の場所を伝えた。

実衣はまだ俺に気づいてなくて、うつろな目をした実衣を後ろから抱き締めた。

実衣は、「だれ…?」と小さく呟いた。

「実衣、何があったかわかんないけど、何かあったら俺に頼れ。」

「駿斗…?来てくれたんだ。ありがとう。駿斗はいつも優しいね。」

「実衣…俺だけじゃねぇよ。空良も洸暉も…木内もいるんだ。みんな、絶対実衣を裏切ったりするやつじゃねえ。だから、何でも抱え込まないで頼れよ。いいな?」

「うん…わかった。今回のことも後でちゃんと話すね。…帰ろうか。」

そう言った実衣の顔は、今まで通りの明るい実衣の顔だった。

2人で立ち上がったとき、向こうから空良たちが走ってきた。

「『実衣ーーーッ!!!』」

いつも通りの実衣に戻ったのを見た木内たちは、すっごい喜んでた。