駿斗に告げたあと、家を飛び出した。


携帯を忘れたあたしは、行くあてもなくて街をふらついていた。

駅前を歩いているとき―…

「ねぇ、君1人?俺と遊ばない??」

いかにも軽そうな男がナンパしてきた。

駿斗と別れて放心状態だったあたしは、その人の話に返事をしなかった。

「なに??シカト??
ひどいなぁ~そんな酷いことしないからさ♪少し遊ぼうよッ♪」

あたしの腕をつかんで歩き出した。


―…そのとき…


「おい、てめぇ何してんの??」

その声にびっくりして振り向くと―…

そこに立っていたのは―…

あたしの大好きな駿斗だった。

あたしはすぐにでも抱きつきたかったけど、自分から別れたから、できなかった。


あたしは、突っ立ったまま。

「それ、俺の彼女なんだけど?
何気安く触ってんの??
さっさと消えてくんない?」

「……チッ」

男は、駿斗の迫力に負けて逃げて行った。

「実衣。」

―…ハッ!!

駿斗に名前を呼ばれて我に帰ったあたしは、駿斗といるのが怖くて、走り出した。

無我夢中に。

ただ、駿斗から少しでも離れたくて。


それなのに―…