あの事故から8年、
お母さんもお父さんも
病院のベッドで今もまだ
眠り続けている…






「お世話になりました」

「由李亜ちゃん、卒業したら
どうするつもりなの?
また戻ってくるのかしら?」


由李亜の親戚の叔母は
少し面倒くさそうに言った。
叔母は由李亜を
預かっていた人だ

しかし由李亜は叔母も
叔母の家族も
好きではなかった。

由李亜のことを
仕方なく引き取り
家では話もせず
食事さえ一緒には
取らなかったからだ

‐今日から高校生活なのに…
もう卒業後のこと?‐

由李亜はそう心で呟き
言葉を飲み込んだ。

「いえ、ご心配なく…
お金を貯めて、卒業したら
すぐにでも一人暮らしが
出来るようにするので…」

由李亜も少し嫌味にとれる
冷たい言い方をした

「そう。」

「じゃあ、そろそろ行きます」
由李亜は
叔母に背を向け歩いた。

由李亜が通う学校は
全寮制でバイトOKな
基本的に自由な学校だ。
これから始まる
高校生活に夢を膨らませていた