「あの時はありがと」


「だから、あたしは別に」


「転んだ瞬間ってさ、すごく恥ずかしいでしょ? だからさ、普通に声をかけてくれたのが嬉しかったんだよね」



ひまわりみたいな笑顔で彼女が笑う。



「2年生になってさ、佐伯さんと同じクラスになってさ、あーあの時の子だって思って。今頃になっちゃったけど、ありがとう」



可愛くて性格までイイ子っていうのは、きっと全てに恵まれてるんだと思う。



「……別に、」



こんな返事しか出来なくて、


自分は本当はこんなんじゃないなんて、心の中で周りをバカにしてるようなあたしとはたぶん、持ってるものが違うんだろう。