首をかしげるあたしに、 「佐伯さん、最近よくここに来てるでしょ? 教室じゃなかなか話せないから……、ほら、佐伯さんって気付くとどこかに行っちゃってるからさ」 ……まあ、そのとおりだけど。 話すのが、面倒だから。 教室にいたくないだけで。 「あの時のお礼言えてなかったからさ」 「……お礼?」 ホントに意味がわかんないんだけど。 ますます首をかしげると、 「覚えてない?」 ぐっと顔を近づけてきて。 思わずカラダをそらすと、 彼女の肩越しに、おかしそうにほほ笑むセンセイの顔が見えた。