「……っ」
センセイの唇が目の前に現れて。
反射的にそらしたあたしの顔を、眼鏡の奥の目はイタズラっぽくとらえた。
いつもは、その眼鏡と前髪でよく分からなかったけど。
こんなに近くで見ると、その顔が実はとても整っているって分かって。
また、急にドキドキし始めて。
「あ、たし、」
いろんなことを見透かされそうで。
ここにいる間、緊張したけど……とても心地よかったことも。
「今日は、帰り、ます」
立ち上がろうとしたカラダは、
「しっ……」
ぐいっと引きとめられて。
「ん……っ」
大きくて熱い手が、あたしの口をおおった。

