「な、んで、」
こんな所に。
最後まで言えないまま、
「声を出さないでって言ったでしょう」
センセイの唇が動くのを、髪の上で感じた。
スカートの両足は、長いスーツの足に挟み込まれて。
背中に感じる、胸の温度。
白衣の腕は、まだ腰に回されたままだから。
センセイのカラダに、あたしはすっぽりと収まった状態で。
……動けない。
振り向いたら、髪の上の唇が直接頬に触れてしまいそうだったから。
むき出しのヒザが恥ずかしい。
そこを、センセイのスーツがすれるから、すごく。
「何なん、ですか」
小さく問うと、
「準備室、使用中なんですよ、今」
もっと小さな声で、センセイが応えた。