魔法にでもかかったように、


キャンバスの中の桜が色づいていく。



あたしの動かす画筆で。


正確には、センセイの誘導で。



でも、こうしていると。


まるで本当に自分が描いているような気分になってきて。



「センセイ、」


「はい?」


「……気持ち、いい」



カラダの深いところが、ほんのりと。



背中に感じるセンセイの体温が、


少し冷えてきた部屋の中であったかいから、余計そう感じるのかもしれないけど。



「言ったとおりでしょう?」


「……うん」



あたしは、センセイの言葉に素直にうなずいていた。