――はらり。 零れる桜。 ブラウスの中に入り込んで。 後を追うようにすっと差し込まれた指先が、 さぐるようにして鎖骨をなぞった。 あたしの薄くてたよりない胸元から、 1枚、1枚、拾い上げられていく薄ピンクの花びら。 「、っ……」 この人は、センセイなんかじゃない。 センセイなら、生徒にこんなことするはずない。 これはきっと……夜桜が見せる幻想。 あたしはそう自分に言い聞かせていた。