「……し、て」 足は、地面に吸いついてしまったように動かないから。 せめてこの距離を広げようとカラダを引いて。 「は、なし、て」 爪を立てようと伸ばした指先だったのに。 「お仕置きしないといけませんね」 白衣に届く前に、長い指に絡め取られて。 動けないあたしに性懲りもなく近づいたくちびるが、 再び苦い息を吹きかけた。