「ば、つ……?」 「ええ」 たぶん、あたしの顔がこわばっていたんだろう。 「大したことじゃありませんよ」 言いながらくすりと笑ったセンセイは、 どういうわけか、消毒液の染み込んだ手をきゅっと握ってきた。 ……そう言えば、さっきからずっとつかまれたままだった。 ぴくりと動いた指先。 それを、センセイの大きな手のひらが封じ込める。 イタズラを思いついたような顔をして。 まるで、 離しませんよ、と言わんばかりに。