「しかし困りましたね」
「……こま、る?」
「ええ。もう少しで仕上がるところだったんですよ」
「え?」
「美術教師が作品を持ち寄って開く展覧会があるんです、来月早々に。そこに出品する予定のものだったんですけどね。これじゃ無理でしょうね。作り直してる時間も無いだろうし」
「う、そ、」
どうしよう。
散らばった破片を見て口を結んだあたしに、
「気にすることはないですよ」
「……でも」
「壊れてしまったものは仕方ない」
「……だけど」
あたしが本気で困っていると、
「せっかくだから、罰を与えてもいいですか?」
眼鏡の奥の目を細めて、センセイが言った。

