「オンナの子でしょう?」 「え……?」 「もっとひどいケガをしてたらどうするんですか」 細かな泡を立てて、手のひらの消毒液が踊っている。 「……怒らないん、ですか」 「怒る気も失せました」 上目づかいのあたしを見たセンセイは、 「塀を乗り越えたり、窓から侵入したり、可笑しな子ですねキミは」 小さくのどを震わせて笑った。