何が起きたのか分からなかったけど。
ふと脇を見ると、粉々に砕けた破片があって。
それが彫刻で、あたしが飛び降りた時に壊してしまったのだと気づいた時にはすでに、
「誰かいるんですか?」
蓮見センセイが準備室のドアを開いていた。
「あ……」
「誰です? 今の音はなんですか?」
「あ、の、」
「……佐伯さん、ですか?」
「ごめ、な、さい」
破片をかき集めようと手を伸ばしたあたしに、
「触らないほうがいい」
センセイの声が飛んできて。
でも、あたしの手は止まらなくて。
「痛っ……」
傷ついた手のひらに、血が滲んだ。

