「帰ろう」 廊下の窓を閉めようとしたとき、 「……あっ」 メモ用紙が風にさらわれた。 「待っ、てっ」 身を乗り出しても届かなくて。 白い紙は、少しのあいだ空中をただよってから落下し始めた。 マズイ。 廊下を蹴った私は、階段を駆け降りた。 上履きのまま廊下の扉を開いて外に出ようとしたけれど、思い直して昇降口へ走った。 ヘンなところで生真面目な自分が憎たらしい。