粉々にくだけた彫刻。


材料なんて分からないけれど、いくつかの破片はするどくとがっていた。



「ごめ、なさい」



かき集めようとした手のひらに、痛みが走って。


小さく上げた声のあと、赤い粒がぷっくりと浮き上がってきた。



近寄ってきたセンセイに腕をつかまれて、ぎゅっと目を閉じた。


怒られると思って。



なのに。



「触っちゃダメだって言ったでしょう」



落とされたのは、叱責の言葉じゃなく、乾いたくちびるだった。