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これからの君に、


どんな色をのせていこうか。














「ずっと気になってたんだけど……」




桜の絵に向き合って、首をかしげる生徒がいる。



「なんですか?」


「この絵、あれから動いた気配がないのは気のせい?」



佐伯亜子、2年生の女子生徒。



「気のせいじゃないですか?」


「ウソ。絶対動いてない」


「君がそう思っているだけですよ」


「……そうかな」


「そうです」



はっきりとした関係は出来あがっていないけれど、


小さな恋人でもある。