「もっと、ですか?」
耳元で、センセイの低い声がする。
「うん」
「……イケナイ子ですね、キミは」
そうなのかもしれない。
センセイと、こんなところで。
「だめ……?」
「そうですね。キミが約束を守れれば」
「約束?」
「明日から学校に来ること。守れますか?」
これも……ワナなのかな。
センセイの、
甘くて、優しくて、上手なワナ。
だけど。
ズルイよセンセイ。
これじゃまた、センセイのペース。
イヤって言えないこと、分かってるくせに。
「返事は?」
「……はい」
イケナイのは、センセイのほう。
だって。
そんなにぎゅってされたら、
………息が、できないよ。

