どこか、不安そうな顔で。
センセイがあたしの言葉を待っている。
言葉が出てこないのは、センセイのこんな表情を初めて見たから……じゃなくて。
頭の中が、整理できないから。
許すとか、許さないとか。
そういう問題じゃないと思う。
最初から最後まで、あたしはずっとセンセイに動かされてたんだ。
巧みなワナで。
でも。
こんな想いをくれたのも、
友だちのありがたみを教えてくれたのも、
センセイで。
退屈な放課後に、
ハイイロの世界に、
色をのせてくれたのは……センセイで。
あの日、センセイに出会えてなかったら。
センセイが罰を与えてなければ。
あたしがワナにかからなければ。
――何も、変わらなかったかもしれない。
それも、事実。

