口を動かそうとするのに、言葉が出てこない。
そんなあたしを見下ろして優しくほほ笑んだセンセイは、
「何かをきっかけにして毎日が変わる。そんなこともあるんです。
偉そうなことは言えませんが……そう思いませんか?
少なくとも僕は、キミが学校にいることでここにくる楽しみができた」
必要のない人間なんていませんよ?
そう言って、あたしの頭を静かに撫でた。
そして、
「許してくれますか?」
まるで、お姫様に仕えるヒトのように。
「ワナにかけたことも、罰を与えたことも」
あたしの前にしゃがんで、大きな手のひらをあたしの手に重ねた。

