「本当は、モノを作る人間になりたかったんです。絵を描いたり、彫刻を作ったり。 言ってみれば芸術家と呼ばれる人間になりたかった」 「芸術家?」 あたしの言葉に、センセイは小さくうなずいた。 「でも芸術家なんて簡単になれるものではありません。大した努力もせずにあきらめた僕は教師になることを選んだんです」 「もちろん、教師になることだって簡単なことじゃありませんでしたが」センセイは苦笑した。